現場から学ぶ

hirocさんからご紹介頂いた(hirocさん、感謝!)職人学を読んで、今まで私が散々お世話になってきた職人さん達のことを思った。

カーペットタイルの営業をやっている時に、売った物件にカーペットタイルの工事が入る際必ず現場に行った。カーペット施工の職人さんたちに支持をする立場になり、そこで初めて図面と現実の差を知った。ショックだった。何故こんなうそっぱちの図面で仕事をさせるのか?これが当たり前の世界だということは分かったけれど、今でも何故入った人が怪我をしたりしなければ、現場で色々と不都合があっても設計者、デザイナーは許されるとかいうのが不思議だ。いい加減に商品を作っているメーカーも。それを売る営業も。まあそんな事を言っていると、設計者から営業まで、常時自分の関わった現場にはりついていなければならない事になるので、それでは効率が悪いというのもよく分かってはいるけれど。ここでも、論理と現実の差を思い知らされる。そして何よりも、自分のいい加減さや、うそっぱちの論理も人に影響を与えてしまうんだ、とも思い知らされた。

オフィス家具の営業をしていた時も、現場に必ず出た。納品の際ビルの前にトラックを停めるのも、細い道だったり、通りの激しい道だったりすると、許可を取るに大変だった。エレベーターの使用の許可。モノを設置する前にも色々な手配で神経を使い、職人さん達によくそんなこともお願いした。特に家具で思ったのは、スムーズに行く現場なんてごく少数ということだ。だいいち、建物は機械はつかっていはいても、結局は人が作り上げている。まっ平らに見える床や、90度に見える壁の角度など、実際図ってみると誤差があるものがほとんどだ。その上家具もネジが足りない、3ミリ大きすぎた、色が違う、細かいことなんて山ほどあった。全てのモノ作りに、沢山の人が関わっているのだ。図面はここでも単に参考のためで、家具の組み立ては現場に合わせて調節する要素が一番大きくて、図面の通りにレイアウトを設置するのは職人さんたちの能力にかかっている。現場が巧く収まったときの感激は、何もしていない私でも現場が仕上がるたびに凄く嬉しかった。

CADでテストし始める前までは、飛行機は図面と現場組み立ての差は70%とディスカバリーで見た。現在では40%かそれ以下になりつつあるようだが、それでも結局は職人さんたちが工夫して作ってくれなければ、なにもできないということだ。職人学にもあった。「机上の設計でそうなるはずでも、いざ作ってみるとそのとおりにはいかない。そのはずを現実のものとして実現するのが職人の技能である。」

私から見ると、職人も、一般のビジネスマンも根本的には同じに見える。同じ人間で、人の思考、社会性というのは多少の差はあっても構造は同じだ。優れた結果を出す人は、田中耕一氏でも、西岡常一でも、安藤忠雄でも、松下幸之助でも同じで、思考作法を徹底的に続けてきた人たちなのではないだろうか。皆さん現場で自分でやってきた人たちだ。

何をやっていても現場が一番の学びの場だと思う。「なあ、小関君よ。あんたも職人ならわかるだろう。あのときだって俺は、いくら上(二階)の住居兼事務所)でうんうん唸ってみても考えつかなかったんだ。下(現場)でヤスリのケツ押していたら、パッとアイディアが浮かんだのさ。俺たち職人ってのは、いつもそうだろう」(職人学)

3 thoughts on “現場から学ぶ”

  1. おぉ、こんなところに自分の名前が。<(^^;
    『職人学』、気に入ってもらえてよかったです。

    この本を読んで思ったのは「いわゆるホワイトカラーの中にも職人的な人っているよなぁ」ということでした。もちろん僕の勤めるソフトウェア開発の会社にも、そういうタイプの人はいて小関さん言うところの治具(ある仕事のためだけに作る道具)をサササっと作り、作業効率や成果物の品質をあげるのに大きな貢献をしています。

    ただ、こういう職人タイプの人はなかなか評価されにくいです。たぶん仕事が上位マネジメント層から見えにくいからでしょうね。(逆に、プロジェクトリーダーなどまとめる側は目立つので、よすぎる評価を受けているかも)

    常盤文克さんの『ものづくりのこころ』でも職人的気質を大事に、ということが述べられていましたし、経営層がホワイトカラー職人を正当に高く評価する気風をつくっていけたらな、と思ってます。

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  2. 「経営層がホワイトカラー職人を正当に高く評価する気風をつくっていけたらな」
    大切ですよね!でもすごーく難しいなぁ、と感じています。「正当」となると、どのアングルから見ても同じに見えなくてはならないと思いますが、仕事はどの立場から見るかによって、重要度が異なると思うのです。それをどう数値化するかですね。私の知っているある会社では、360度評価というので、クライアント、同僚、上司、部下、他部門からとあらゆる角度から評価され、総合点が付けられました。正当だなぁと思いましたが、その為の労力は大変なもので、結局3年目には続かないでした。それを徹底することが、会社にとっても、社員にとっても満足するための大切なことかもしれませんね。

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