1980年代のはじめに、私はカリフォルニア州ヴェニス、ワシントン・ヴルヴァード901番地のイームズ・オフィスを訪ねた。その時、私は、学生のような改革の理想を機能的で日常的な実用品として評点することに成功した人たちに会っているのだ、と感じた。レイ・イームズは髪をまとめてまるでバイエルン人のように装い、輝くように微笑み、快活な声でよくしゃべる人で、入り込んだ迷路のような室内に私を案内した。ロビーから図書室をよこぎって工房へ入ると、そこはさまざまに区分けされていて、通りすぎざまに、インドのイメージでいっぱいの世界へまた時にはサーカスへとふいに連れ込まれたように感じた。まるで展覧会でも開催されているかのように掲示板のかたわらを通り、広くて解放的なキッチンに入ると、そこではアジア系の老婦人がおいしいサラダと野菜料理とお茶で迎えてくれた。私たちが食事をし、レイがプロジェクトについて説明している間、スタッフや友人たちが絶え間なくテーブルについたり、挨拶したり、会話に参加したりし、また映像室や工房や保管室のそれぞれに方へと姿を消していった。
その日はイームズ・オフィス内のさまざまなイメージやオブジェや音声が、本当に自然に次から次へと絶えることなく私の注意を引き付けた。そこでは仕事と娯楽と余裕のあいだに通常あるべき境界線がぼやけていることに気付き、どんなに驚いたことか、よく憶えている。
The Work of Charles And Ray Eames: A Legacy of Invention
チャールズ&レイ・イームズ
何て素敵なオフィスなんでしょう!アミューズメント・パーク、小さな美術館、学校の美術室、ドン・キホーテ・ディスカウント・ショップ等のイメージが思い浮かびました。