ワークプレイス:2006から2016へ パート2

パート1では、本当のようなウソの話という事で、そこまで言うか?というようなメールも頂き、書いて良かった!と思いました。

どの時代になっても根本的な事に手をつけることができないため、周辺を直すことによって根本的な要素に影響を与えようとすることはあり続けるので、ワークプレイス改革がビジネスの効果、効率を促進させ結果を向上させるというアプローチから経営改革に取り組む企業も後は断たないでしょう。

ワークプレイスを2006年から2016年という10年のスパンで考えるに辺り、例えば2006年に取り組み始めたプロジェクトが2016年にはどのような結果となっているかを考えるようなアプローチが必要です。最近通訳として参加させて頂いた東京ゲームショーでLAの3Dグラフィック制作会社の方に、日本とアメリカと流行るゲームはどう違う?と聞いてみたところ、その方の答えは、両方ともシューティング・ゲームとか格闘ゲームは人気あるけど、日本ではファンタシーが多いね。アメリカは戦略ゲームが多いんだよ、という話をしてくれました。『失敗の本質』でもそのような類のトピックに触れますが、日本で生まれ育ち教育は全て日本だった人では、戦略や戦略に基づいた計画を立て更にそれを実行に繋げるということができる人の比率が少ないようです。経営に関してもその傾向は当てはまるわけで、もちろんワークプレイス作りにも当てはまります。ただ、進む方向性を定め、戦略、計画をたて、それを実行しなければ、ワークプレイスだけではなく、組織も企業も日本全体も変わらないでしょう。

先週第4回大林賞受賞記念シンポジウム「サスティナブルな地域のデザイン:ドイツ・エムャーパークの挑戦」に参加して、ショックに近い刺激を受けました。通常どんなイベントに参加しても、そこですぐに本を購入することはありませんでしたが、今回はその場で『IBAエムシャーパークの地域再生』を購入して帰りの電車で読み始めました。この本にあるほとんどの内容が、「エムシャーパーク」や「地域再生」という言葉を「ワークプレイス作り」に変えてそのまま使えるものだと思いました。講演と本によると、ドイツルール地域は1870年から1950年にかけて石炭と鉄鋼産業で急速に拡大し、20世紀後半にはそれらの職場の閉鎖と人口の流出も激しい場所でした。そのような問題を抱えているところの地域プロジェクトがエムシャーパーク・プロジェクトでした。ワークプレイスの10年間を考えるということにあたり、エムシャーパーク・プロジェクトの10年間の活動は大変良い参考になります。そして何が残ったのか?というところで、本にはこう書かれています:

 

ルール地域とりわけエムシャー沿川は、10年間のIBAの中で自分達の価値判断のもとに自己改革を遂げた。「失われた地域」は、偉大な産業の歴史に対する誇りを取り戻すことに成功した。そしてさらにポスト工業化時代における地域経済発展に向けた新たな道筋を見出し、そして、そのことを表明した。
 ・・・つまり、このIBAで一般に参考にすべきことは、ハードの成果よりむしろソフトの開発手法なのである。

10年間で自己改革を遂げた大きな理由は下記で説明されています:

 

こうした状況の中で、州による「プラニング」への介入の考え方が変化した。投資や融資、あるいは法制による禁止や命令といった従来型の影響力行使を補うものとして、改革を狙う総合的な「アセスメント・プロセスの提案者」あるいは「改革運動の進行役(モデレーター)」としての州の役割が必要だと考えたのだ。
 高度工業化社会では、当事者としての市民とその利益を守るための機関の存在が、構造改革の前提条件となる。社会が複合的になってきているので、その分市民の取り組みが求められるのである。つまり、構造改革にとって何よりも大事な資本は、アイデアや提案を持った個々の市民なのである。

上記の市民を社員と、社会をワークプレイスと書き換えれば、そのままワークプレイス作りに当てはまる考え方です。

たとえば2006年に入り、政府が企業に向けての個人情報保護法を強化させました。そのため、情報セキュリティの一環としてPCの持ち出し禁止が始まり、この動きは人の働き方に多大な影響を与えています。あれだけ取り入れられていた、「いつでも、どこでも」は死語に近いものとなりました。メールやPC関係作業はもう会社でしかできないということは、会社での作業が増えているという事になるのでしょうか?会社で過ごす時間がまた長くなっているのでしょうか?そうだとすると、去年考えていた5年後、10年後とは全く違ったワークプレイスの姿になるのでしょうか?

パート1では、本当のようなウソの話というところで終わりましたが、パート2ではワークプレイス作りは、IBAエムシャーパークで示されたように、ハードの成果よりソフトの開発手法が10年、又はそれ以上のスパンで考えるワークプレイス作りの重要な鍵、で終わります。

パート3に続く

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