ここ数日間工業デザイン研究者のFirsthandのMatt Marsh氏(マット・マーシュ)と仕事をして思ったこと。人は自分の仕事の価値について分かっていないケースが多い。私もそうですが。私も最近まで、これをするからこれだけのお金を頂こう、と思っていました。いつ気が着いたか、何故気が着いたかはよく覚えていませんが、最近は、人は価値があると思ったものに、その価値に妥当と思った分だけお金を出します。だから、いくら自分はこのくらい請求したい、と思っても、企業のお金の決定権を持っている人たちがその価値がないと思っていたら、絶対無理。その人たちを説得することはできますが、その人たちにアクセスすることは困難。ただ、希望があるのは、時代の気分や、市場のタイミング等で自分の思っている以上に請求してもするりと上手く行く事もあります。
デザインが良い例。日本では、2000年前半までは、形にする工業デザイン会社・デザイナーに価値があったような気がします。ここ5年間ぐらいは、リサーチなどを取り込んだデザイン手法を持っている工業デザイン会社やデザイナーに価値がありました。最近は形にすること、リサーチどちらが欠けていても意味が無いという事が分かってきている会社も増えてきたと思います。そして、価値がある工業デザイン会社・デザイナーは、カリスマ性や手法を持っているだけではなく、ひらめきやアイデアを意味のある商品やサービス創りにつなげられるということも。
実際は、上記+フォーカス・グループや大型アンケート調査等の手法と合わせて使うことが最も効果的なのに、それらをバランス良く実践している会社は少ないです。
マットは今まで日本企業と仕事をした例は1度しかないですが、もっとやってみたいと言っています。じゃあ私がマーケティングを手伝うね、という話になりました。マットは仕事では1990年代にIDEOサンフランシスコ・ブランチとロンドン・ブランチでデザイン・ディレクターをしていたという実績と、ロンドンで独立してから日本でも一目おかれている最大手のクライアント達を持っているという事は分かっていたので、それ以外にどんな強いメッセージを語ろうか?という話をしました。日本では、本を出版していなければ、次にはどこか大学で教えていたりすると良いんだよね、と言うと、ああ、それならRCA(Royal College of Arts)で非常勤で教えているよ。アメリカにいる時はスタンフォード大学でも教えていたし、と思いついたように応えました。私はびっくり。普通そういった事は前面に出すのに、マットは本当にそんなことが企業から仕事を取ることと関係あるとは思っていなかったようです。私がその事を話すと、へーえ、そうなんだ!アドバイス有難う!と言いました。
私はここ数年間デビッド・トングのマーケティングを手伝ったり、海外企業のデザイン・プロジェクトのコーディネーションをしたり、デザイン・リサーチの仕事で観察をしたりしてきましたが、毎回デビッドやマットと仕事をさせてもらう度に、大学のデザインコースを受けているような気分になります。又は師匠の技を身近に見せてもらっているような気分と言った方が的確なのでしょう。
早く次のプロジェクトが入りますように!待ちきれないです。
デザインの価値をお金に判断するのは難しいですよね!
内容より過去の実績や本の出版、などなど、他で形になったものを
よりどころに判断するケースが多いのも事実です。
結局、クライアント側が自分で判断することへの自信やリスクを背負えないように感じています。(結局は他責思考かな~)
共によいものを創り上げようというクライアントと出会えるとよいですね!
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Kasaさん
コメント有難うございます。
>内容より過去の実績や本の出版、などなど、他で形になったものを
>よりどころに判断するケースが多いのも事実です。
me too商品をデザインする際はそれで良いかもしませんが、イノベーションを本当に求めている場合それらは殆ど頼りになりませんね。
クライアントと言っても、数人熱い思いを持っている人たちがいて、「天の時、地の利、人の和」が上手く重なった企業と出会えた時は素晴らしい事ができます。それを求めて希望を持って進みますね!
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有形無形を問わず、もの創りに必要なのはmissionでもfashionでもなくpassionだと思います。最初に共有した情熱を最後まで保つことが肝なんでしょうか。恋愛と同じなんですかね。
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norihitoさん
コメント有難うございます!
Passion。恋愛と同じような気がします。
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