犠牲者ではなく生存者として

2011年5月21日(土)に、TEDx Tokyoに参加してきました。私はイベントやセミナーは、開催する側として、特に裏方で忙しい仕事をする立場で参加するのは好きですが、イベントのお客様として参加者することは好きではありません。どこかから湧き出てくる行きたくない、という気持ちを抑え、学べるんだ、人と出会えるんだ、と自分に言い聞かせ、毎回気合を入れて参加しています。今回のTEDx Tokyoでも同じような葛藤を乗り越えて当日出向きました。でも今回は、最初から最後まで講演を集中して聞くことができ、自分でも驚きました。こんなことは、ナレッジ・マネジメント・イベント以来の8年ぶりです。きっとイベントのテーマが、今の自分が求めていることとぴったり合っていたのでしょう。「未知への扉」。日本社会で何が起こっているのか。大きな流れの真最中に私がいて、家族がいて、友人や同僚がいる。私は自分の進んでいる道が本当に分かっているのだろうか?どうすれば有意義な結果を出すことができるのだろうか?今回のTEDxTokyoを振り返ってみると、同じような思いを持ちながらも、自分が選択したテーマに取り組み、それらを形にした人達の話しを、同じ空間で同じ空気を共有しながら身体全身で聞いたことが大変重要だったのだと思います。実際その場に居合わせたことで、自分が開いた未知への扉を通り抜け、前へ進んでいるのだと実感できたような気がします。 5月21日を振り返ると、驚くほど多くの「偶然」があったのですが、それは朝8時過ぎに到着して、一人で朝食を食べながら、展示を見ていた時に始まりました。隣に同じようにしている男性がいたので、彼に声をかけてみました。今日はどんな事に期待しています?と。すると、彼は、災害地での活動だね、と応えてくれました。そこで、私がまだ災害地に行って手伝えていないこと、原発で問題が起きた直後、大使館などに通訳としてボランティアしたけれど、何の反応も無く、お役に立てていない、という話をしたところ、彼の災害地活動経験から学んだ事の熱くお話してくれました。話を始めてしばらくしてから改めて自己紹介をし、名刺交換をした時、彼が講演者の一人だと初めて知りました。カルロス・ミランダ・レヴィー (Carlos Miranda Levy)氏と話をしていたのです。 彼のメッセージはこういうものでした:今地震・津波で避難生活を送られている人達は、つい2ヶ月前までは、主婦であり、医者であり、食堂の調理師であり、美容師だったのです。そこに行って、会話をしてあげたり、必要なものを持っていってあげたりすることは凄く大切ですし、やらなければならないことです。でも、例えば大学生がそこに行って炊き出しをしてあげ、時間になったら並んで、というように災害者扱い続けるするべきではありません。大学生よりも、主婦の方がよっぽど美味しいものが作れます。そこに調理師がいたとすると、その人の方が、そこにある素材で栄養を考えてもっと美味しい料理ができるはずです。災害は、生存者を作るのです。犠牲者として接していると、その人達は犠牲者の枠から出ることができなくなります。現地の人達が生計を立てていた仕事に戻れるような援助をしましょう。 今まで多くの有名人達が被災地を訪れ、それがマス・メディアで報道されたおかげで、一般の人たちの支援の気持ちを高めてくれました。2ヶ月少し経って、地味で、長期的な生存者の行き方を支援する時期に入りました。漁師の方々は、魚を恵んでもらうのではなく、船を、漁の道具をもらい、仕事をして活きていきたいように、皆仕事がしたいのです。どうすれば、有意義な活動ができるのだろうか、と考えていた事に、レヴィー氏に光を当てて頂いたような気がします。 イベントの日の最初の出会いがレヴィー氏でしたが、最後の出会いも私にとって、静かでも、大きな希望をくれました。帰る途中、たまたま一緒に会場を出た知り合いの方々と話しながら電車に向かって歩いていると、一人の日本人の50代ぐらいの男性も会場を出て駅方面に歩いているところでした。通常日本人同士だと、道路で歩きながら会話など始めませんが、TEDx Tokyoの影響で、会話が生まれました。ICT会社の方でした。僕は、ずっとICT関係をやってきた。地震の日に、あまりにも多くの利用者のため、携帯電話が全く通じなかった。一番頼りになるはずのものだったのに・・・。その時、この人は今本当に苦しんでいる。今成長の時にいて、深い学び最中にいる、と感じました。この人は、これをきっかけに、きっと携帯電話をより良いものにしてくれるだろう。または新しいコミュニケーションの仕方を見つけてくれるだろう、と思いました。私達は、3・11東日本大地震で「未知への扉」が開き、そこを通り抜けているのだと思います。今回のTEDx Tokyoの講師の方々は、この未知の世界を自分の手で良くしようと考えている人たちです。私達は皆時代の犠牲者ではなく生存者なのですね。 ここには、Levy氏のセミナービデオを埋め込みましたが、TEDx Tokyo 全ての講演が日本語でご覧いただけます。是非、是非ご覧下さい。タイムリーにこのイベントを企画、実施されたTodd Porter and Patrick Newell、そしてTEDx Tokyo関係者全ての皆様に深く感謝します。

効率化がエコ化:ウォルマートが環境対策で絶賛されていた

http://video.google.com/googleplayer.swf?showShareButtons=true&docId=2117058646892668334%3A105000%3A1655000&hl=en Charlie Rose:  A panel discussion about green technology 初めてチャーリー・ローズのセミナーをウェブで見たのは私のウェブ・デザインと管理を全面的にやってくれているシャシャンク君が毎週送ってくれるニュースレターがきっかけだった。非常に興味深かったので、それ以来色々なインタビューを見ているが、この環境問題に関する2006年12月29日に録画された古いパネル・ディスカッションは特に刺激的だった。 パネリストの面子は、サンマイクロシステムズ会長Scott McNealy, シリコンバレー環境ビジネスのJohn Doer, K.R.Shridhar3名。カリフォルニアでの状況、ヨーロッパにおける環境活動、環境問題どころか、食べるものさえままならない世界での10億人の人々はどのようになるのか、などの話を経由して、ウォルマートの活動の話になった。 ウォルマートは、過去20年以上、労働環境、賃金、経営手法の良い面、悪い面でもメディアを賑わせてきた。ウォルマートは世界で一番多く電化製品を売っている。そのウォルマートが、環境問題対策として、自社の物流システム(トラックを含む)のエコ化、取引先がエコ化しなければ、取引をやめるとの宣言と実行など、ある意味ではウォルマートらしい効率化と強制を実施することによって、地球に対してのエコ化ができたという話になった。2006年末の時点では、年間5億ドルをエコ化開発に使っているとの事だ。 一般的には、未だにエコとは必要悪でお金がかかるというイメージがある。本当はそうではない。効率化にならないエコは、意味が無いのである。

オフィスはいらない

神楽坂にプロジェクト工房オフィス(スタジオ)をオープンしてから2年4ヶ月。会社専用のオフィスはいらない、と判断し、今月末閉めることにしました。今までオフィスでかかっていた固定費の大部分を、ウェブに投資します。私にとって、自然ではない、大きな行動変革です。ただ、色々と考えた末、変わるしかないと判断しました。 その考えた内容は下記の通りです: 1.オフィスは価値を生み出していない 人が集まるにしても、私が声をかけなければ集まりません。数人集まる時には、その日のお互いのスケジュールで都合の良い場所にあるスターバックスやタリーズに集まります。誰かを常時オフィスに置いていると、オフィス費用+固定費がかかります。カフェでもやれば別ですが。でも私のしたい仕事はカフェの運営ではありません。 私は仕事は、頭脳労働です。ワークスタイルとして、専用オフィスでないとできない事は全くありません。なので、クライアントに価値のある情報提供や企画などは、専用オフィスで生み出されていません。 2.オフィスには招待して来てくれる人もいるが、ウェブには殆ど毎日誰かが訪れ、何か価値を持ち帰ってくれている 日本中のあらゆる場所、世界中のあらゆる場所から、本当に多くの方たちが私達のウェブ・ページを訪問してくれます。日本では、ワークプレイス創りの先端を行っている方々がこのサイトを読んでくれています。ここから発展したコラボレーションは多々あります。私達の仕事では、価値を生み出さないオフィスに使うお金は99%自分と知り合い達との贅沢で、その反面ウェブに使うお金は全て訪問者に何かを伝えます。今までウェブサーベイなどもクライアントのプロジェクトで行ってきましたが、オフィスにお金使うのではなく、もっとやりたい研究・調査のウェブ・サーベイで使えば、どれだけ面白い事か! 3.オフィスに行くということは、好きな人たちに会いに行くということ 神楽坂にオフィスを構えるきっかけとなったのは、ちょうど榊田建築設計事務所の榊田さんがオフィスを探していたので、共同で借りたら面白そうだ、という理由からでした。その二人が、より自分たちの建築という仕事に近いパートナーと別会社を立ち上げ白金台に12月に移転することになった際、広くなったオフィスで、プロジェクト工房のありかたを拡げる良いチャンスだ と考えました。しかし、そのための色々なアイデアがあっても、その運営のしかたを考えるとどうしても現時のビジネスモデルに上手くフィットしませんでした。そもそも榊田建築設計事務所の榊田さんとオフィスを協同で借りることにしたのは、一緒に仕事をしていて楽しかったから。神楽坂のオフィスに行く一番の動機は、榊田さんと待井さんが好きで会うことが楽しみだったからです。その人たちがいなくなるということは、オフィスに行く一番大きな理由がなくなることだと気が着いたのです。 4.自分の巣は必要だけれども、会社専用オフィスは必要ではない 結局神楽坂でのオフィスの使い方は、私たちにとって別荘だったようなもの。プロジェクトで毎日クライアントのサイトに行ったり、忙しい時期に詰めてレポートを書いたりする時は、神楽坂オフィスに行かずに自宅で仕事をしていました。 世代や、育った文化によって違うかもしれませんが、私は自分の巣が必要です。でも別荘は必要ではありません。 5.セキュリティを考慮した打ち合わせの場所の確保 打ち合わせでセキュリティが必要な事もあります。ただ今までのプロジェクト工房の仕事からすると、比率として10%ぐらいがそのような打ち合わせです。そのぐらいであれば、貸し会議室、ホテルの個室、レストランの個室などで十分です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここまで色々と書きましたが、最も大きなきっかけとなったのは、Creative Companyを書いた、私の尊敬するThe Law FirmのAndy Law氏の講演を聴いた事です。私たちはオフィスの持たない会社だ、オフィスはコストだ、いらない、と聞いて、最初は心の中で大反論しました。ただ、もしも自分がそうしたらどうなるだろう?と考えてみました。すると、良いオフィスの使い方が考えられなかったのに、専用のオフィスが無ければできることが沢山あることの気が着いたのです。そして、財務的に考えても、私にとってオフィスは時間もお金も消費する「コスト」でしかなかったのです。 ここではじめて知識労働者の殆どは、専用のオフィスが無くても仕事はできる、という事を受け入れました。 ということで、現在新しいウェブの準備中です。 ということで、今後の私のワークスタイル・ワークプレイス・コンサルティングは、知識労働者・頭脳労働者の専用オフィスを無くすことによって、企業価値を上げる事となります。

CSR

数週間前に、コア・ネット主催のジョーンズ・ラング・ラサール社ジョン・モルテンソン氏のサステナビリティについてのセミナーを受けた。そこで、スターン・レポートについて知った。2006年10月に英国政府がスターン卿の環境レポートに基き、環境問題対して何もしなければ、経済は20%も減少する可能性があるとして、早急に国際的にアクションを起こさなければならないと発表した。その後マスメディアが環境問題について急激に報道するようになったという。 インターフェイス・フロア社は、ほぼ100%原油からできている商品に関わらず、1996年よりレイ・アンダーソン社長(現在会長)自ら環境問題に積極的に取り組み、全体的なサステナビリティ活動により、めまぐるしい成果を上げている。先日、内田洋行社でのインターフェイス・フロアにおけるアジアパシフィック環境オフィサーのナイジェル・シグナル氏のお話を伺った。シグナル氏は、スターン・レポートでは、何もしなければ経済は年間5%減少するが、もしも1%環境対策の投資を行えば、その減少は起こらないとあるとの説明をされた。また、特にオフィスビルなどに関しては、環境問題対策投資をすることにより、電気や水のムダをカットするので、運営コストが下がるため、ビルの価値は上がり、賃料が投資をしていないビルより高くとれる。またオフィスの中の空気がきれいになり、二酸化炭素の排出を押さえながら温度も快適なレベルでたもてるため、社員の健康が促進され、生産性が上がっているという結果も出ている。 1960年代に、よく公害問題がニュースに出ていた。東京の多摩川は、汚染が酷く、「死の川」とまで呼ばれていた。しかし、努力をしてくださった方々のおかげで、今では鮎などの魚が戻ってくるほど水質が回復してきた。現在の環境問題は、昔からの続きであり、ローカルで解決できない問題がそのままになってしまっているように思える。政府も、企業もグローバル化が進んできた。多くの困難をチームワークで解決してきている。テクノロジーの進化も素晴らしい。一つのビルが隣接ビルの水も洗浄したり、パイプを使って工場で使われて熱くなった水を暖房装置として広範囲で使ったり、トランスフォメーション経済的なこともできるようになってきている。ビジネスもリーダーシップを発揮し、CSRとして地球温暖化に対するアクションを起こす時が来ている。

ワークプレイス・サステナビリティ

先日ワークプレイス・サステナビリティ・セミナーを開催した。急な企画に関わらず、30名近くの方々が参加し、熱いディスカッションが交わされた。 講師はDEGW Asia Pacific社のDinesh Acharya氏とハーマン・ミラー・ジャパンの佐々木洋子氏。Acharya氏は、ワークプレイスの存在意義を満たす建物、インテリア観点から、佐々木氏は、ワークプレイス+他のインテリアの中におかれる商品と、それを作る会社の姿勢といった観点から話を展開させた。 私にとって印象的だったのは、建物事態が宇宙コロニー的に機能する時代が到来しているということと、サステナビリティは企業ブランドにとって最重要要素になりつつあるということだった。 「企業のサステナビリティの取り組みの第一要因は何か?」という質問がセミナー後のパーティで出たが、講師の「企業イメージ」という答えが強く印象に残った。 消費に関しては、B2Cでも、B2Bでも良い商品で当たり前、エクスペリエンスを含む良いサービスで当たり前という歩みだが、今求められているのは、それらを向上させながらも、商品・サービス事態を使えば使うほど環境が良くなるサステナビリティ・デザインがなされていなくてはならないということ、それを企業が社会に伝え、サステナビリティを広めることが最強のブランディングなっているのだと認識した。 1995年にカーペットタイルのインターフェイス社で働いている頃、レイ・アンダーソン会長の指揮下、サステナビリティに真剣に取り組み始めた企業人たちと出会い、実際のプロジェクトに環境考慮要素を組み込んでいた。その頃は環境を考慮することが当たり前だと思っていた。1997年にインターフェイス社を後にし、ビジネス界ではサステナビリティに真剣に取り組んでいる企業が極めて少ないことに気がついたが、不満ながらも特別なことを始めないまま11年も経ってしまってた。 先駆者たちの努力のおかげで、やっと時が来たと思う。企業のサステナビリティへの取り組みスピードアップを、ワークプレイス・プロジェクトによって実現させたい。 今回のセミナーの主催社ハーマン・ミラー・ジャパン、セミナーコンテンツ提供社DEGW Asia Pacificと、セミナー参加者に敬意を示し、感謝したい。

マクドナルドの革新

2003年3月に、「最後のマクドナルドでの朝食」というエントリーを書きました。当初は本当にもう二度とマクドナルドで朝食を食べたくない、と思っていました。そして、私は2007年2月11日に、家族と一緒にマクドナルドに朝食を食べに行きます。理由はいたって簡単。場所が行きたくなるようなインテリアと雰囲気になったからです。 2年程前から東京周辺のマクドナルド店舗はインテリアを改装をしてきていますが、インテリア改装に伴い、活動も時代にみあった、コミュニティ、人重視、健康意識に変わってきました。フランチャイズということは、店舗改装に大金を使ってもらうためにきっとオーナーさんたちにかなりしっかりとしたビジョ

イケアの成功

イケアが横浜市港北区にオープンしたのは9月。自宅から自転車で45分ぐらいで行けるので、オープン直後に訪問して依頼遊園地に行くような感覚で何度も訪問しています。行く度に楽しませてもらい、行く度に私が今注目しているビジネス概念と照らせ合わせて納得しています。特に物販のマーケティングに関しては、隅々まで私の学んできた理論と合っているので、そのような発見もイケアの訪問の楽しみの一つです。 エクスペリエンス・デザイン; お客さまが五感を使って楽しめる。部屋の中での使い方を見て、触って、匂って、味わって感じることができる。(聴く、が少し弱いかも。)又、訪問前、訪問後もウェブ、カタログ等を通じて長く楽しむこ

経験経済・トランスフォーメーション経済

Frontiers of the Experience Economy AUTUMN 2003 • BATTEN BRIEFINGS A quarterly discussion of innovation, entrepreneurship, and business change One way to determine what business you’re in is to consider what you charge for: If you charge for raw materials, you’re in commodities; if you charge for ph