新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。 過去に何十回もこの挨拶をしてきましたが、昨年は私を含む多くの方々が、3月11日からしばらくの間、新しい年を迎えてこの挨拶ができるかも定かではなかったと思います。改めて、今回のお正月は、その意味と有難さを感じることができました。「死」を意識した時に初めて「生」を理解できる。人間はやはり対照的なものが二つは無いと物事を理解できない。一つのことだけ理解することはできないんですよね。 家族の本当の有難みも、一人になったことがないと分からない。そういった意味では、子どもの頃自閉症の傾向があり、且つ一人っ子で、学校に行っている時間以外は誰もいない家にこもり気味で最初の19年間を過ごした私には、家族の有難みが普通の家庭で育った人と違います。また、私は人生の最初の20年間で25回引越しし、内全く別の町への引越しが殆どで、国をまたいでの引越しも5回経験しました。そのため、過去14年間同じ場所に住み、3人子どもを育ててみて、初めて如何にコミュニティーの中のあらゆる年齢層の家族を持った人達が、一緒に家族を育てることが親子にとって如何に安全で安心な発見と学びに満ちているかという事も本当に有り難く感じました。これは家族だけではなく、仕事や会社についても当てはまると思っています。 不幸自慢(?)になってしまっているのは、私が書き手として未熟なもので、思いつくままに書いてしまっているからなので、どうぞお許し下さい。お伝えしたいのは、子どもや、部下などに安全、安心を乗り越えて対照的な経験をさせながら、見えないところ、気が付かれないところで導いくのは、親、リーダーの最も大きな役割であり、その役割を学び実践することが私たちの仕事と生きがいなのではないでしょうか?ということです。 今日から、インターネットで記事を書くたびに毎回下記のような免責条項を補足します: この記事は須田冨士子がこれを書いた時点での意見、思いであり、過去、又将来の意見、思いとは異なることがよくあります。人は育ち、変わるもので、年齢とその時点での時代において意見、思いが時には退化し、時には進化するためです。記事の引用、利用はご自由にして頂いて結構ですが、どうぞこれらをご理解下さい。
Category: ワークプレイス
行動、経験からのワークプレイス
犠牲者ではなく生存者として
2011年5月21日(土)に、TEDx Tokyoに参加してきました。私はイベントやセミナーは、開催する側として、特に裏方で忙しい仕事をする立場で参加するのは好きですが、イベントのお客様として参加者することは好きではありません。どこかから湧き出てくる行きたくない、という気持ちを抑え、学べるんだ、人と出会えるんだ、と自分に言い聞かせ、毎回気合を入れて参加しています。今回のTEDx Tokyoでも同じような葛藤を乗り越えて当日出向きました。でも今回は、最初から最後まで講演を集中して聞くことができ、自分でも驚きました。こんなことは、ナレッジ・マネジメント・イベント以来の8年ぶりです。きっとイベントのテーマが、今の自分が求めていることとぴったり合っていたのでしょう。「未知への扉」。日本社会で何が起こっているのか。大きな流れの真最中に私がいて、家族がいて、友人や同僚がいる。私は自分の進んでいる道が本当に分かっているのだろうか?どうすれば有意義な結果を出すことができるのだろうか?今回のTEDxTokyoを振り返ってみると、同じような思いを持ちながらも、自分が選択したテーマに取り組み、それらを形にした人達の話しを、同じ空間で同じ空気を共有しながら身体全身で聞いたことが大変重要だったのだと思います。実際その場に居合わせたことで、自分が開いた未知への扉を通り抜け、前へ進んでいるのだと実感できたような気がします。 5月21日を振り返ると、驚くほど多くの「偶然」があったのですが、それは朝8時過ぎに到着して、一人で朝食を食べながら、展示を見ていた時に始まりました。隣に同じようにしている男性がいたので、彼に声をかけてみました。今日はどんな事に期待しています?と。すると、彼は、災害地での活動だね、と応えてくれました。そこで、私がまだ災害地に行って手伝えていないこと、原発で問題が起きた直後、大使館などに通訳としてボランティアしたけれど、何の反応も無く、お役に立てていない、という話をしたところ、彼の災害地活動経験から学んだ事の熱くお話してくれました。話を始めてしばらくしてから改めて自己紹介をし、名刺交換をした時、彼が講演者の一人だと初めて知りました。カルロス・ミランダ・レヴィー (Carlos Miranda Levy)氏と話をしていたのです。 彼のメッセージはこういうものでした:今地震・津波で避難生活を送られている人達は、つい2ヶ月前までは、主婦であり、医者であり、食堂の調理師であり、美容師だったのです。そこに行って、会話をしてあげたり、必要なものを持っていってあげたりすることは凄く大切ですし、やらなければならないことです。でも、例えば大学生がそこに行って炊き出しをしてあげ、時間になったら並んで、というように災害者扱い続けるするべきではありません。大学生よりも、主婦の方がよっぽど美味しいものが作れます。そこに調理師がいたとすると、その人の方が、そこにある素材で栄養を考えてもっと美味しい料理ができるはずです。災害は、生存者を作るのです。犠牲者として接していると、その人達は犠牲者の枠から出ることができなくなります。現地の人達が生計を立てていた仕事に戻れるような援助をしましょう。 今まで多くの有名人達が被災地を訪れ、それがマス・メディアで報道されたおかげで、一般の人たちの支援の気持ちを高めてくれました。2ヶ月少し経って、地味で、長期的な生存者の行き方を支援する時期に入りました。漁師の方々は、魚を恵んでもらうのではなく、船を、漁の道具をもらい、仕事をして活きていきたいように、皆仕事がしたいのです。どうすれば、有意義な活動ができるのだろうか、と考えていた事に、レヴィー氏に光を当てて頂いたような気がします。 イベントの日の最初の出会いがレヴィー氏でしたが、最後の出会いも私にとって、静かでも、大きな希望をくれました。帰る途中、たまたま一緒に会場を出た知り合いの方々と話しながら電車に向かって歩いていると、一人の日本人の50代ぐらいの男性も会場を出て駅方面に歩いているところでした。通常日本人同士だと、道路で歩きながら会話など始めませんが、TEDx Tokyoの影響で、会話が生まれました。ICT会社の方でした。僕は、ずっとICT関係をやってきた。地震の日に、あまりにも多くの利用者のため、携帯電話が全く通じなかった。一番頼りになるはずのものだったのに・・・。その時、この人は今本当に苦しんでいる。今成長の時にいて、深い学び最中にいる、と感じました。この人は、これをきっかけに、きっと携帯電話をより良いものにしてくれるだろう。または新しいコミュニケーションの仕方を見つけてくれるだろう、と思いました。私達は、3・11東日本大地震で「未知への扉」が開き、そこを通り抜けているのだと思います。今回のTEDx Tokyoの講師の方々は、この未知の世界を自分の手で良くしようと考えている人たちです。私達は皆時代の犠牲者ではなく生存者なのですね。 ここには、Levy氏のセミナービデオを埋め込みましたが、TEDx Tokyo 全ての講演が日本語でご覧いただけます。是非、是非ご覧下さい。タイムリーにこのイベントを企画、実施されたTodd Porter and Patrick Newell、そしてTEDx Tokyo関係者全ての皆様に深く感謝します。
ワークプレイスのあるべき姿:図書館を中心とした大学のキャンパス
ロンドン英国図書館について2年前にエントリーした。プロジェクト工房チャンネルに映像も載せた。あの時、ロンドン英国図書館が時代のあるべきワークスタイルの形だと思った。その後、幾つかの図書館をウェブ上で紹介させて頂いてきた。そして、今回は米国サンノゼ州立大学を訪問し、ワークプレイスの姿は「図書館」から、「図書館を中心とした大学のキャンパス」であるべきだろうと思うようになった。企業のオフィスでの仕事全てを考慮すると、今や先端の研究を行っている大学のキャンパスをお手本のすれば良いと思う。 中心は図書館で、面積も、機能も最も充実している。全ての情報がここで得られ、資料、データの入手だけではなく、その資料やデータを見ながら他の人達と話し合い、アイデアを出し、新しい知識を作るというプロセスを可能にする場と仕組み。ロンドン英国図書館のようなセッティングで、基本オープンだが情報によってはアクセスの制限をする。個人作業、グループ作業、だれでもいつでも作業、講演の場。食べ物、飲み物へのフリー・アクセス。誰でもがどこでもアクセスできる無線LAN。親切なライブラリアンが知りたい情報と繋いでくれる。セキュリティ・ゲートがついており、誰でも入れるが、貸し出しの手配をしない限り、開けたり、持ち出したりできない。 企業のオフィスという枠組みを外し、人が活き活きと働く、知識が流れ、アイデアが溢れ出る場という観点からワークプレイス作りを考えてみては如何だろうか? 他図書館エントリー参照: 千代田区図書館 ロンドン英国図書館 アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
千代田区図書館:「あなたのセカンドオフィスに」
去年(2008年)11月に、「英国図書館:知識労働者のベスト・ワークプレイス」というエントリーを書きました。昨年訪れた際、現代の働き方に一番フィットした場だと思いました。先日、内田洋行の若杉さんから、千代田区図書館の事を教えてもらい、英国図書館のように機能が充実しているとの事で嬉しくなりました。ホームページには「あなたのセカンドオフィスに。もうひとつの書斎に。平日夜10時までご利用いただける、いままでにない"図書館"です」 とあり、無線LANが使えるエリアあり、コピー機の充実、超低価格で借りれる会議室があるようです。近日訪問しようと思っています。
英語はビジネス持続性のために必要なコミュニケーション・ツールなのか
小学校5年生の頃だったと思う。ロシア人の誰かが、1900年代初期に、世界の共通言語を作ろうとした話を国語の教科書で読んだ。最初はロシア語を共通言語にするべきだと考えていたが、ロシア語は言語として学ぶには比較的難しいため、定かではないが、たしか全く新しい言語を開発したように覚えている。 共通言語があったらどんなにステキなことだろう。例えば、今私が活発に参加しているツイッターで、ロシア人のデザイナー、ドイツ人の子育てをしながら働いているお母さん、中東の教育者などと気軽に会話ができる。そして面白そうなこと、役に立ちそうなちょっとした工夫をお互いに教えあえる。それは誰もを幸せな気分にさせるお料理のコツかもしれないし、子どもに対する数学の説明のしかたかもしれない。 正式な世界の共通言語ではないが、現在ツイッターだけではなく、ウェブ全体で英語で情報発信すれば、世界中の多くの国々の人たちとコミュニケーションができる。特にビジネスに関しては、英語でホームページやブログがあれば、情報発信だけではなく、収集も世界的にできる。 英語が世界共通言語として適切かどうか分からないが、これだけは言える。私自身、過去5年間の間、英語でのブログ、そして最近はツイッターを通じて何人かの海外の人たちと長期的につながり、また幾つかの鍵となるプロジェクトに参加することができた。私にとって英語はビジネス持続性のために必要なコミュニケーション・ツールだと言える。
サステナビリティ活動の具体的な、測定できる目標設定
最近エントリーがどんどん多くなってきました。ワークプレイス作りからワークスタイル変革、そこからワークスタイルに大いなる影響を与えるコミュニケーションとサステナビリティと一歩づつ原因へと移行してきました。このブログの内容も、6年前からそれに合わせて変化して来ています。このところ海外のコミュニケーション学、サステナビリティ学、これらの実践に関するポータルサイトのようになっていますが、現在日本でまだ一般的に知られていない、または実践されていない内容を紹介し、ご一緒に考え、作って生きたいと思っています。 下記は、ツイッターで私がフォローしているonsustainさんのクリーン・テクノロジーのイノベーションのプレゼン資料です。 Clean-tech & Innovation Learnigns From Silicon Valleyhttp://static.slidesharecdn.com/swf/ssplayer2.swf?doc=learnignsfromthevalley-090331103658-phpapp01&stripped_title=learnigns-from-silicon-valley View more presentations from Oriol Pascual. 具体的な、測定できる目標設定の参考になると思います。 6ページのサンノゼ市の2015年のグリーン・ビジョン(特に5千万平方フィートをグリーン建築にするなど)や、15ページのEBCビジネス環境に関しての具体案では、ワークプレイス、ワークスタイル、サステナビリティが繋がっています。コミュニケーションという観点からは、今やこのように発表された日からほぼ何時間後にプレゼン資料が観れる、ダウンロードできる、またそれを作った人の信憑性をウェブ上の異なるリソースからクロス・チェックできる訳です。多くの人たちが、ウェブでのでっち上げクチコミと、信頼できるクチコミの違いが分かるようになったということもありますね。
ワークライフ、ワークプレイス、コミュニケーションにショッキングな統計
つい先ほど音声無しで見た動画です。Did You Know? (ご存知でしたか?)というタイトルですが、考え方に共鳴しました。知識がボーダレスになっている今、どの国出身の人材が今後社会に大きなインパクトを与えるか、そしてICTが人類の今後を変えることを深く考る必要性がある、という観点から語られています。 現在のブロードバンド・インターネット浸透率が1位の国はバミューダ、米国は19位、日本は22位という面白い統計が観れますが、2010年に必要とされるトップ10の職種は、2004年には存在しなかったものという統計はショッキングです。現在の学生たちには、ほんの数年先に必要とされる職業について教えられない。テクノロジーも、数年後には仕事でどんなICTを使いこなさなければならないか検討もつかない。 私たちは既に、変化できるもの、学び続けられるもののみ生き残れる時代に生きているのでしょうか。 情報源: http://twitter.com/minhaaj
ウェブで入手したネットワークのマイクロ社会学の資料、それが意味すること
Micro Sociology Of Networks http://static.slidesharecdn.com/swf/ssplayer2.swf?doc=microsociologyofnetworks-090316085658-phpapp02&stripped_title=micro-sociology-of-networks View more presentations from Critical mass. Slideshareをご存知ですか?大したことのないものから、最新の情報、または複雑な事柄を素晴らしいビジュアルにまとめてあるプレゼンテーション資料が無償で観て、ダウンロードできるサイトです。ツイッターでフォローしているThe Law Firmにネットワークのマイクロ社会学についてというコメントを辿って上記のプレゼンテーション資料を入手しました。ついこの間までは、このような資料は企業やコンサルタントが必死に守っていたものです。このような資料は、偉い先生、有名なデザイン、研究、調査会社に依頼し、何百万円もかけて入手しているというケースもまれではありませんでました。大量生産商品で商売している企業と同様に、コンサルタントという職業の成果、サービス内容が見直される時代が到来したようです。今後は、具体的な提案、実践、実行できる有意義な結果やサービスが求められるのでしょう。
コミュニケーション学
ネイキッド・コミュニケーションズ社をご存知でしょうか?広告市場で、コミュニケーション・コンサルティングを行っている会社です。この会社を知ったきっかけはツイッターだったのですが、最初はNaked(裸)という言葉を観て、何だか怪しそうなサイトのようで警戒してしまいました。でも、恐る恐る観てみるとコミュニケーションに対して新鮮な観点を持っており、面白そうだったので、ネイキッド・コミュニケーション社パートナーのJonny Shaw氏を訪問し、お話を伺わせて頂きました。 ここ10年間ほどデザインの理論、学理が広まりましたが、次にはコミュニケーションの理論、学理が追求されると予測されます。まだ確立されていない広報、コミュニケーションの理論ですが、Jonny Shaw氏や、もう1人のパートナーである前澤一成氏と話すと、そのあるべき論が見えてきます。私自身、ワークプレイスのカタチを作るコンサルティングから、そのカタチに最も影響を与えるコミュニケーションの実態測定と、改革のコンサルティングに移行したため、お二人の話を聞いて非常に勉強になりました。 日本語のサイトはまだ無いようですが、ブログはこちらTotally Naked。今後の活躍を期待しています。
社内コミュニケーション
1月末にはサステナビリティ、2月にはチャリティとワークスタイルと、過去1ヶ月半ほどで3つの異なるトピックで人が集まり意見を交し合うイベントの企画、運営、実行を行いました。その合間に、社内コミュニケーション・プロジェクトに4件携わりました。こうやって改めて振り返ってみると、自分の仕事がオフィス空間という限られた場作りから、多次元の場作りに移行しきったと感じます。 場作りとは、深いコミュニケーションを作る事だと思います。現在は、社内コミュニケーションが問題になっているという企業が後を絶ちませんが、社内コミュニケーションを改革するには、ビジネスとして社外との繋がりを理解しなければなりません。トピックに興味のある人たちだけが集まるイベントを最初から最後まで見届けるプロジェクトをこなしていくうちに、そのように考えるようになりました。 2月末に開催した「ワールド・ワイド・ニュー・ワークスタイル・コンファレンス」のシーンはこちらからご覧頂けます: ビデオ 写真集
ツウェスティバル
2009年2月12日(木)16:00~に、東京でもツウェスティバルが開催されます。 世界で同時多発的(といっても時差はありますが)に開催される、チャリティ・イベントです。 楽しみながら、社会貢献しましょう!是非お出で下さい。
社員を強くする、弱くする
友人のMoriwakiさんが、宜しければこの本読みませんか?と言って私の目の前に、『奇跡のリンゴ』を出しました。ここなんですけど、と言ってページの角が折り曲げてある所を開いて読んでくれました: 自然は細切れになど出来ない。それは、木村があのドングリの木の根元で悟った重要な真理だった。自然の中に、孤立して生きている命など存在しない。自然をどれだけ精緻に分析しても、人はリンゴひとつ想像することは出来ないのだ。バラバラに切り離すのではなく、ひとつのつながりとして理解すること。科学者がひとつひとつの部品にまで分解してしまった自然ではなく、無数の命がつながり合い絡み合って存在している。生きた自然の全体と向き合うのが百姓の仕事なのだ。 Moriwakiさんは有名大学を卒業した高学歴の研究者です。有名企業の研究者として働いていながら、もっと全体的に影響のある有意義な事をしたいと以前から言っていた事をまた思い出しました。 借りた本をすぐに読んでみて、一気に読み終わったのですが、1週間前に読んだのに、まだ何度も読み返しながら内容を消化しています。深い、深い内容です。 私の時系列的リアクションとしては: とにかく木村秋則さんの人生に感動。 著者のエピローグに反発。私自分がいつも突っ走った結論を出すから。人は、自分のイヤな部分に似ているところを持っている他の人に出会うと極端に嫌うと思う。 著者の感情的な所が見える文章に反発しながらも、木村さんの生き方、周りの生き方、自然の中のものの関係について考える。 木村さんも凄いけど、やっぱり周りも同じぐらい凄いと思う。一緒に生きた家族。木村さんは最後に探していたものを見つけたけれど、子ども達は自分たちの育った環境と和解することがまた凄い道だと思う。同じ地域のリンゴ農家の人たちの心境。自分たちは間違っているのか?そんなことはないはず、という思いを持ちながら生きているのでは。木村さんが有名になればなるほど、苦しいのでは。 リンゴの木も本当に頑張ったと思う。例えば、ある程度普通に育った子ども達が、なんらかの理由で親がいなくなったり、再婚したりで全く違った育て方をする親に育てられることになった、といった感じ。お菓子食べ放題、栄養満点の食べ物と、ちょっとの運動でラクして考えないでいたれりつくせりで育ってきた子ども達が、いきなりスパルタの自然環境に放り出されたような。親は最初は自分の目的のために子ども達を自然体にさせようとしていたけれど、子ども達の反応に苦しみ、親も子ども達も一緒に苦しみ、成長したような。 ビジネスの研究、開発、科学的な手法では、例えば全部のリンゴの木を一挙に苦しめるのではなく、数本づつ色々なテストして、解決案を出していったかもしれない。ロジックでは、そうすることが一番痛みが少なく、早く解決案を出せると考えられているけれど、多分本当に結果を出すためにには、木村さんみたいに全部賭けてしまう事が必要なんじゃないかと思う。逃げ道があると、人間そちらに行ってしまうもの。人は根本的には弱いから。だから追い込まれた時本当に強くなれる。でもそれも賭け。 無農薬のリンゴを作って、儲けようとしないというのは、日本人のキャラだと思った。例えばアメリカのサクセス・ストーリーだったら、そこで儲かるビジネスをスタートアップして、より多くの人たちに無農薬のリンゴが行渡るシステムを作る。世界的に考えると、儲かるビジネスほど沢山の人を本気にさせるものは無いから。だからフランチャイズ・システムが上手く行くわけで。 欲の無いことは美徳とされているけれど、自然の法則から言っても、欲の無いものよりは、欲のあるもののほうが繁栄し、生き延びる。無農薬のリンゴと、その無農薬野菜、フルーツ栽培の手法をもっとも効率良く広めるビジネスは無いものか。 自然のサイクルの話で、数年間は、リンゴ農園で毎年違った虫や植物が繁栄したとあった。今のグローバル経済状況も農薬漬けになっていた畑で農薬が効かなくなってきて、それをどう制御するのかで混乱しているのと同じなのだろう。 自然に生きることは、常に状況を見極めて判断し、アクションを起こすこと。自分の健康も、家族を育てることも、ビジネスを行うことも同じ。子どもを強くする、弱くする。社員を強くする、弱くする。 ビジネス・コンサルって、殆どが農園に農薬ばらまいているのと同じ。 本で、害虫は虫眼鏡でみると温厚な顔、益虫は悪者の怪獣みたいな顔とい木村さんは言っていたが、企業の中ではどうなんだろうか? リンゴの木の土から上ばかり見ていて、根っこの部分を考えていなかったから、弱っているリンゴの木の役に立つことをしていなかったと木村さんは言っている。企業もそう。10年ほど前、ナレッジ・マネジメントや、知的資産がはやっていた時、現在の大きなオフィスビル、沢山の社員は、過去の企業の努力を見ているので、将来の企業のカタチは、見えない土の中の根っこに養分が十分に行渡っているか、根っこが育てる状態にあるかにかかっている、というのを覚えている。 自然観察することが、企業の持続性、人の働く一生に一番有意義だと思った。 子どもに声を出して読んでやっている。楽しんで聞いてくれるから嬉しい。 私はビジネスの百姓でありたい。 日本語のウェブで自然栽培や、無農薬について検索すると、がっくし。何ページも、何ページも感激した!というたぐいのサイトのリストはあるものの、具体的なノウハウ伝授で分かりやすいサイトは無し。この本を買えば!とかいうのはいくらでもありますが。テクノロジー関係だったりはいくらでもウェブで知識を得ることができるのに。日本でのインターネットの価値ってまだこんなものなんですね。 まだまだこの本の内容を考え続けていくでしょう。紹介して下さったMoriwakiさんに感謝です!
オフィスをネットに移転することに対する反応
オフィスをネットに移転したというお知らせに対して沢山の応援のメールを頂いています。 有難うございます! 既に数年の歴史のある50人以上の会社では、何か極端な事があり、必要に迫られない限りオフィスをネットに移転させることはできません。私の会社でやったことは、特に今後起業する方たちの働く環境の選択の一つだと思います。 従来の概念では、会社を立ち上げるということは、新しい社会を作っていく、イコール大きくしていくという事が一般的でした。時代の流れで、今では大きくすることの優先順位は低くなってきているようです。大きくしないほうが社会貢献度も高く、働く人の満足度も高い会社の事例として、コンサルティングやデザイン、設計ビジネスがあると思います。 昔ハワード・マスコウィツ氏の最も多くの人たちが求めている「正しい」コーラの甘さ研究調査をした結果、一つの正しい甘さなど無いということ、人にとって正しい選択はいくつかあるということが判明しました。(マルコム・グラッドウェル) 働き方も、会社のありかたも、最も多くの人たち一つの正しいものを人は求めているのではなく、正しい選択はいくつかある。そしてそれが実戦できる時代になったのかもしれません。ただ、この場合バリー・シュワルツが言うように、正しい選択ということ自体が難しくなるのかもしれませんが。
プロジェクト工房の新しいオフィス
プロジェクト工房の「オフィス」とするホームページ新装しました。 是非お立ち寄り下さい! プロジェクト工房ホームページ 今後も、F2F、メール、お電話、オンラインを通じての皆さんとの活気のある活動を楽しみにしています。
2008年振り返り
愉快な一年を有難うございました! 振り返ると、その時点で自分が一番やりたい仕事をするために色々な働き方を始めたのは30年前でした。乗馬をしたくて、大好きな馬の傍にいたくて、馬場で進んで色々と手伝っていると、それがバイトになりました。大学時代は図書館で過ごす事が大好きだったのですが、学費のために大学の図書館でのバイトをゲットしました。長男が小さい頃は、アメリカで通訳、翻訳の仕事をしながらSOHOをしたり、日本に来てサラリーマンをしている時、次男で妊娠してつわりが辛い時期、むりやり在宅勤務をさせてもらいました。その時、その時、自分が特別なことをしているとは全く思わず、家族を持つために、やりたい仕事するためにがむしゃらに周りの調節をし、働き続けてきました。 働き方というのは、仕事を出す側と働く側の求めるものが上手く組み合わされて初めて変わっていけるのでしょう。 今年もまたやりたい仕事をするために働き方が変わった年でした。仕事パートナーの方々のおかげで有意義な一年となりました。有難うございました!