ロンドン英国図書館について2年前にエントリーした。プロジェクト工房チャンネルに映像も載せた。あの時、ロンドン英国図書館が時代のあるべきワークスタイルの形だと思った。その後、幾つかの図書館をウェブ上で紹介させて頂いてきた。そして、今回は米国サンノゼ州立大学を訪問し、ワークプレイスの姿は「図書館」から、「図書館を中心とした大学のキャンパス」であるべきだろうと思うようになった。企業のオフィスでの仕事全てを考慮すると、今や先端の研究を行っている大学のキャンパスをお手本のすれば良いと思う。 中心は図書館で、面積も、機能も最も充実している。全ての情報がここで得られ、資料、データの入手だけではなく、その資料やデータを見ながら他の人達と話し合い、アイデアを出し、新しい知識を作るというプロセスを可能にする場と仕組み。ロンドン英国図書館のようなセッティングで、基本オープンだが情報によってはアクセスの制限をする。個人作業、グループ作業、だれでもいつでも作業、講演の場。食べ物、飲み物へのフリー・アクセス。誰でもがどこでもアクセスできる無線LAN。親切なライブラリアンが知りたい情報と繋いでくれる。セキュリティ・ゲートがついており、誰でも入れるが、貸し出しの手配をしない限り、開けたり、持ち出したりできない。 企業のオフィスという枠組みを外し、人が活き活きと働く、知識が流れ、アイデアが溢れ出る場という観点からワークプレイス作りを考えてみては如何だろうか? 他図書館エントリー参照: 千代田区図書館 ロンドン英国図書館 アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
Category: ワークプレイス:デザイン、レイアウト例
ワークプレイスのデザイン、レイアウト事例
オフィスはいらない
神楽坂にプロジェクト工房オフィス(スタジオ)をオープンしてから2年4ヶ月。会社専用のオフィスはいらない、と判断し、今月末閉めることにしました。今までオフィスでかかっていた固定費の大部分を、ウェブに投資します。私にとって、自然ではない、大きな行動変革です。ただ、色々と考えた末、変わるしかないと判断しました。 その考えた内容は下記の通りです: 1.オフィスは価値を生み出していない 人が集まるにしても、私が声をかけなければ集まりません。数人集まる時には、その日のお互いのスケジュールで都合の良い場所にあるスターバックスやタリーズに集まります。誰かを常時オフィスに置いていると、オフィス費用+固定費がかかります。カフェでもやれば別ですが。でも私のしたい仕事はカフェの運営ではありません。 私は仕事は、頭脳労働です。ワークスタイルとして、専用オフィスでないとできない事は全くありません。なので、クライアントに価値のある情報提供や企画などは、専用オフィスで生み出されていません。 2.オフィスには招待して来てくれる人もいるが、ウェブには殆ど毎日誰かが訪れ、何か価値を持ち帰ってくれている 日本中のあらゆる場所、世界中のあらゆる場所から、本当に多くの方たちが私達のウェブ・ページを訪問してくれます。日本では、ワークプレイス創りの先端を行っている方々がこのサイトを読んでくれています。ここから発展したコラボレーションは多々あります。私達の仕事では、価値を生み出さないオフィスに使うお金は99%自分と知り合い達との贅沢で、その反面ウェブに使うお金は全て訪問者に何かを伝えます。今までウェブサーベイなどもクライアントのプロジェクトで行ってきましたが、オフィスにお金使うのではなく、もっとやりたい研究・調査のウェブ・サーベイで使えば、どれだけ面白い事か! 3.オフィスに行くということは、好きな人たちに会いに行くということ 神楽坂にオフィスを構えるきっかけとなったのは、ちょうど榊田建築設計事務所の榊田さんがオフィスを探していたので、共同で借りたら面白そうだ、という理由からでした。その二人が、より自分たちの建築という仕事に近いパートナーと別会社を立ち上げ白金台に12月に移転することになった際、広くなったオフィスで、プロジェクト工房のありかたを拡げる良いチャンスだ と考えました。しかし、そのための色々なアイデアがあっても、その運営のしかたを考えるとどうしても現時のビジネスモデルに上手くフィットしませんでした。そもそも榊田建築設計事務所の榊田さんとオフィスを協同で借りることにしたのは、一緒に仕事をしていて楽しかったから。神楽坂のオフィスに行く一番の動機は、榊田さんと待井さんが好きで会うことが楽しみだったからです。その人たちがいなくなるということは、オフィスに行く一番大きな理由がなくなることだと気が着いたのです。 4.自分の巣は必要だけれども、会社専用オフィスは必要ではない 結局神楽坂でのオフィスの使い方は、私たちにとって別荘だったようなもの。プロジェクトで毎日クライアントのサイトに行ったり、忙しい時期に詰めてレポートを書いたりする時は、神楽坂オフィスに行かずに自宅で仕事をしていました。 世代や、育った文化によって違うかもしれませんが、私は自分の巣が必要です。でも別荘は必要ではありません。 5.セキュリティを考慮した打ち合わせの場所の確保 打ち合わせでセキュリティが必要な事もあります。ただ今までのプロジェクト工房の仕事からすると、比率として10%ぐらいがそのような打ち合わせです。そのぐらいであれば、貸し会議室、ホテルの個室、レストランの個室などで十分です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここまで色々と書きましたが、最も大きなきっかけとなったのは、Creative Companyを書いた、私の尊敬するThe Law FirmのAndy Law氏の講演を聴いた事です。私たちはオフィスの持たない会社だ、オフィスはコストだ、いらない、と聞いて、最初は心の中で大反論しました。ただ、もしも自分がそうしたらどうなるだろう?と考えてみました。すると、良いオフィスの使い方が考えられなかったのに、専用のオフィスが無ければできることが沢山あることの気が着いたのです。そして、財務的に考えても、私にとってオフィスは時間もお金も消費する「コスト」でしかなかったのです。 ここではじめて知識労働者の殆どは、専用のオフィスが無くても仕事はできる、という事を受け入れました。 ということで、現在新しいウェブの準備中です。 ということで、今後の私のワークスタイル・ワークプレイス・コンサルティングは、知識労働者・頭脳労働者の専用オフィスを無くすことによって、企業価値を上げる事となります。
英国図書館:知識労働者のベスト・ワークプレイス
ロンドンに着いたのは日曜日でしたが、現在こちらではテレビもラジオも、どれだけ景気が悪いか証明する競争のようにシティバンクの5万人解雇の件や、オイル・タンカーのハイジャックに関して盛り上がっています。月曜日、火曜日とワークテックに参加しました。つい先月上海でも参加しましたが、国、都市、場でこんなに違うのだな、と痛感しました。一般的に明るい未来を信じて過ごしている人たちと、一般的に悲観的になっている人たち。昨日のセミナーでは、Eddie Obeng氏が、「我々は景気が良い時も、悪い時も、生活のパターンは殆ど変わらない。変わっているのはどう感じるかだけだ」と言っていましたが、その通りだな、と思いました。 ワークプレイスやテクノロジーに関しても、多くの刺激と学びがある充実したワークテックでしたが、何よりも開催された場所から一番大きな影響を受けました。百聞は一見に如かず。英国図書館(St.Pancras)の コンファレンス・センターでの開催。正しく今の働き方に一番フィットした場だと思いました。無料の無線LAN。すぐにアクセスできる資料。カフェ、カジュアルな打ち合わせの場所、個人作業の場所。もちろんコンファレンス・センターが隣接している事により、大きな会議や集まりも可能です。資料のセキュリティに関しても参考になります。 企業は、知識労働者の働く環境を構築するのであれば、まず英国図書館を視察することをお勧めします。 ・・・そういえば、数年前に北欧の図書館で、人を貸し出して、その人から実際の話を聞くという事ができると知り、是非行ってみたいと思ったのでした。先進国の図書館めぐりが一番良い知識社会の場作りの参考になるのかもしれません。
IDEOのセミナーがどなたでも受けられます!しかも東京で!
IDEOの知り合いからメールがありました。日本能率協会を通じて、一般の方々に「独創的かつ現実性の高いアイデアを導くための観察を通じた仮説構築(ビジネス・エスノグラフィー)」の手法セミナーが誰でも受けれるようになったとのことでした。 やっと日本でも一般者向けにこのようなセミナーがスタートしたと聞いて、私は飛び上がるほど嬉しいです! それなりの参加費用はかかりますが、今までは有名な大学のデザイン部や、大企業の開発、デザイン部の研修でなければ受けることのできなかった貴重なイノベーションの基になる教育です。価値は十分にあると思います。ワークプレイス作りの関係者にとっても、このセミナーを受けることは基本だと思っています。私自身2002年スチールケース社員の頃、ワークプレイス・コンサルティング教育の一環としてこのような研修を受けました。それ以来、プロジェクトの際必ず使っている手法です。トム・ケリー氏の「発想する会社!」を読んで感動された方もご興味があると思います。 セミナー詳細、申し込みはこちらから → 日本初のビジネス向けエスノグラフィ実践講座 ヤッホー、ブライアン!教えてくれて有難う!
グーグルのオフィス創りから学ぶ
ビジネスパートナーでよく面白いネタを知らせてくれる人がいる。その方からグーグルのオフィス創りが見れますよ!凄いですよ!というメールを頂いた。私はいつもの早とちりで、私達が一緒に創ったオフィスと同じプロセスだし、そんなに凄いですか?というレスをしたところ、「凄い」というのはグーグルが自分達のオフィス創りのプロセスを見せるということです、と答えが返ってきた。 なるほど、確かに世界で大騒ぎされている商品(サービス?)で知られているグーグルが、イノベーティブな商品を生み出し続けるために作ったオフィスの中身やそのオフィスを作ったプロセスが見えるようにしてしまったということは凄い。私の「凄い」の意味は、グ
ロンドンのデザイン会社
ロンドン出張で、ロンドンに拠点を持つクライアント、パートナー会社を訪問して来ました。その中のデザイン会社を3社をここで紹介します。これらのデザイン会社でザ・ディヴィジョンは特に私の専門分野であるワークプレイスに関しては知識も経験も深いところです。3社ともワークプレイス・プロジェクトに関わるとすると、働くという行為と働く人たちの実態をあらゆる角度から捉えて考えその企業の場のありかたを構築し、それらに基づいた説得力のあるコンセプトを立てます。クライアント企業、一般の設計、建築事務所、家具屋さん等が橋渡しになるプロジェクト・マネージャーを軸としてコンセプトを実現させるという仕組みになります。 ザ・デ
サイボウズ・ラボ株式会社オフィス
エクスペリエンス・デザインの基本はシンプル
去年からザ・ディヴィジョンのお手伝いをしています。1月16日には、東京21世紀クラブでエクスペリエンス・デザインについてザ・ディヴィジョンのデビッド・トング氏がセミナーを行いますが、楽しみです。 デビッドのプレゼンテーション、レクチャーを聴くたびに、又その際の質疑応答のたびに凄い学びを得ているので、本当にラッキーだと思っています。先週某日本企業で同じセミナーを開催しましたが、そこで私が感じたのは、デビッドが教えてくれるエクスペリエンス=ブランド、ブランド=エクスペリエンスのシンプルな基本は、実は全てのビジネス事項に通じているという事でした。 例えば、掛け算を覚えるには、九九の非常に単純な覚え方
コミュニケーションの場
ワークプレイス(オフィス)でコミュニケーションの促進が重視されている。コミュニケーションを促進するオフィス・レイアウトの話がよく出る。 オフィスでの人の行動を変えるためには、ホワイト・カラー生産効率という概念を捨てるしかないと思う。生産効率=数値的に計れるもの。レポートの数?特許の数?契約書の数?コミュニケーションが必要なのは、効果を挙げるため。たとえば営業と同じで、数が沢山あれば取れる確立も多くなるかもしれないが、バランスとして、どの数であれば顧客に喜んでもらえるサービスの質を保てるか。100の顧客のうち、注文が取れるのが30で、喜んでもらえるサービスの質だったのが5だとすると、100の顧客