デザインは合間に

デザインは合間にやる、と経験豊富で優秀なデザイナーが言った。 その道のエクスパートは、自分の得意分野にかける時間は比較的短い。何か手や体を使い他の作業を数時間やった後だと、集中して、他の作業に費やした時間の一部でその得意分野で結果を出せる。 そのデザインを合間にやっていると言った人は、グラフィック・デザイナー。小さなショップを持ち、そこでメール・オーダーも受けている。受注業務、検品、梱包、物流全て他数人のデザイナー達と一緒に作業をしている。商品の包装とかやっている間に頭の中が整理されるようだ。その後デザインの作業をすると集中してできる、と彼女は言う。 プロレベルとなると、デザイナーだからと言って、じっと座って作業ばかりしていると効率が悪いようだ。

「エスノ」って何だろう

聞こえは「エステ」みたい。軽い感じがする。 ウェブで検索すると、「エスノ」の意味は、 《元来は、民族を意味する接頭語》民族音楽。また、民族音楽の要素を取り入れた音楽、特にポップスをいう。 と出てきてびっくり。工業デザインや開発、研究に携わる人達が「エスノ」という言葉を、「エスノグラフィー」の略として使っているかと思っていた。調査や研究の際使う人間行動観察手法という意味だけじゃないんだ!と関心してしまった。 そして、私が良く知っている、日本大手製造企業に関わるデザイナー、研究者が使う「エスノ」の意味は、従来のエスノグラフィーの意味ともまた違う。従来のエスノグラフィーは、じっくりと人の行動を観察して洞察を得るもの。昨今企業内外でカジュアルに使われている「エスノ」の意味は、商品開発、デザイン手法として、行動観察だけではなく、その後の洞察のまとめ、総合化と、その総合化と作りたい、作るべき商品との関連付け、そしてその関係性を生かしたモノのカタチまで含まれていると思う。 ビジネスだけとはいわないが、こういった言葉の定義が、仕事をする際とても重要だ。ありがちなのは、デザイン会社と企業の企画部が、プロジェクトを始めた後、何だか上手く進んでいないと思い、そこで話し合って初めて言葉の定義の違いが明らかになること。 話し合いをして定義が明らかになり、調節して上手く収まることもあるが、ベストなものは、仕事を始める前にお互い楽しみながら仕事をしていて、定義が違っても、調節し、違うから面白い結果になること。簡単ではないが、やりがいはある。