知の積極的な提供

1ヶ月以上前に借りた本。早く返さなければという気持ちでサラッと目を通すつもりで「暗黙知」の共用化が売る力を伸ばす:日本ロッシュのSSTプロジェクトを昨日読み始めた。人の読んだ本を借りるのは面白い。まずは本の持ち主が線を引っ張ってある所、コメントが書き込まれているところを読むと、その人がその時点で何を考えていたのか何に興味を持っていたのかが良く分かる。ようするに、読む人間の精神状態、学びの過程によって、その本から得るものは全然違う。今回借りた本に線が引っ張ってあるところは、プロセスのエッセンスが見えるところだった。同じ本を読みながら私がノートに書きとめたところは、会社の成功に絶対不可欠な要素だ。「暗黙知の共用化」といっても、日本ロッシュが成功したのは一つ一つの場に順序があって、その場での人の動き、気持ちが統合したから起こったわけで、どこかの部分だけコピーしたからといって物事は成功しない。

日本ロッシュの小川社長が、「全部オープンにしちゃいなさいよ。減るもんじゃないんだから」と言えるのはそれを理解しているからなのだと思う。どの会社もその時点の成長過程は変えられない。ロッシュのやり方を部分的にそのままコピーしたからといって、成功するはずがない。その反面、まず自分から知を発信することによって、相手もオープンになってくれるし、その人が持っている最新情報を分けてくれる。それが野中郁次郎教授が言った「地は積極的に提供しなさい。そうすれば、自らの知はさらに高みにのぼります」の意味なのでしょう。更に、大きな成果を上げるには信頼関係無しではありえない。この本で私にとって一番インパクトのあったエントリーは、「SSTは、選手と密着したコーチング手法を実践した。だからこそ、成し得た成果だった。教える側と教えられる側に、信頼関係がなければ成り立たなかっただろう。」というところだった。

こうやって場創りについて書きつづけていて良いんだ、と思うと同時に、今携わっている某大企業のプロジェクトでその「信頼」と「自ら実践する」という事に気がついてもらえるにはどうすれば良いのだろうか、と一生懸命考えている。この本を一生懸命読みながら。

6 thoughts on “知の積極的な提供”

  1. コーチングですか。

    信頼して相手に話したくなる関係って理想ですね。
    信じる姿勢って言葉を発しなくても俄然伝わります。
    Sudaさんの周りにはそういう人、多い気がする。

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  2. とにかく先ほどはびっくりしました!電車でばったり会うなんて。思いも寄らず家族に会ってもらえて嬉しいでした。そしてコメント有難うございます。日本ロッシュのSSTプロジェクト読み終えたのですが、今携わっている3つのプロジェクト全部に重ねて考えら、凄く良いタイミングでこの本に出会えました。まず信頼。そして熱意。後は勉強し、準備を徹底的に行い実践する。おかげで今のプロジェクトの楽しさが倍増しています。

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  3. はじめまして、Dragonfly’s blogのソウです。ちょくちょくアクセスさせてもらってます。

    相手を信頼することによって自分も信頼してもらえる。すごい身にしみます。僕はNBAが好きなのですが、NBAで最も有名なコーチと言ってもいいパット・ライリーは徹底して与えることを選手に実行させたそうです。与えれば必ず自分に帰ってくる、と。
    ロシュのオープン化も相手を信頼していたから可能となったんでしょうね。そして信頼されているから社員もそれを裏切るようなことをしなかった、と。

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  4. ソウさん、コメント有難うございます!ちょくちょくアクセスして頂いているとのこと、すっごく嬉しいです。NBAですか。私がすぐに思い浮かべる事ができるのは、ラリー・バード、Karem Abdul Jabbar、マイケル・ジョーダンぐらい。今コーチングという言葉が流行っていますが、結局コーチングって何かというと、スポーツのコーチを思い浮かべれば分かりやすいですよね。パット・ライリーについてちょっとアクセスしてみましたが、今はマイアミヒートのコーチなんですね。

    私だけかもしれませんが、この頃言葉の意味が薄くなってきているような気がします。「信頼」という言葉も、あまりにもあちこちで使われていて(広告とか)コミュニケーションをする時に、従来の言葉ではだんだん意味が表す事ができなくなっているように思えるんですが。残念ですよね。

    またコメントがあればお願いします。

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  5. Sudaさん、こんばんわ。
    僕のblogにもコメントくださったみたいで、ありがとうございます。

    言葉の意味(というか雰囲気)については、僕も悩むことが多いです。Sudaさんは複数の言語を使われているみたいなので(blogを拝見している限り)、余計そうなのかも。

    ちなみに、パット・ライリーはKarem Abdul Jabbar、Earvin “Magic” Johnson
    のいたレイカーズの黄金時代を築いた名伯楽です。

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  6. ソウさん、有難うございます!

    複数の言語といっても英語と日本語だけですが、確かにそうです。特に英語は日本ではカタカナでかなり使われていて、その上モノの名前を表現するカタカナ英語以外は、意味や雰囲気が違う。(ちょっと今良い例が思い浮かびませんが、例えばチェンジ、エージェントとか)

    昔テレビでNBAの試合を見ながら持っていたパット・ライリーに対する私のイメージは、スリックなヘアスタイルで、気のみじかそうなオヤジだな、という事でした。レイカーズの頃、ちょうどMagic Johnsonがエイズで引退したんでしたっけ?

    ネットの情報によると、彼はアメリカでも屈指のモチベーションについての後援者みたいですね。早速彼の本、「The Winner Within」を注文しました。早く読みたい〜!

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