フリーアドレス制のワークプレイス

4年間毎年進化してきたフリーアドレス制の事務所で働いてきましたが、結局私はフリーアドレス制のワークプレイスではルーチン事務作業、持っている資料等をレファレンスにしながら行う集中作業は、自席を持っている頃の半分以下のスピードで行っていると思います。結局資料創りや、レポート作成の際には、紙の資料を見える所に置いて、どこになにがあるか分かってやっているのと違い、神経を使う事が総合的に仕事のスピードを落とす要素となる。また、事務所に来た時、毎回自分の巣を作るのに15分から30分(作業内容によってセッティングの時間が異なる)かけた後、落ち着いて、それから仕事の波に乗るという所までさらに30分程かかります。そして、その場での仕事をこなすための効率的な思考になる日というのは5回のうち1回のように思えます。

きっと私が集中力に乏しいおっちょこちょいだからこうなんだ、と自分のせいにしていましたが、良く考えてみたら私のような人は沢山居るわけです。その人達の生産性、気持ちの安定を考えてみると、やはりフリーアドレス制のワークプレイスだけではだめです。

会社の施設コストは、都心の施設となると膨大なコストとなります。だから昨今しょっちゅう事務所にいない仕事の人達は、フリーアドレス対応となりがちです。今まで私も精神面を充実させることによって、フリーアドレスが効果的に企業に取り入れられると思い、それのコーチングを多く行ってきました。でも、現時点ではそれは失敗です。

では、どうすれば良いのか?施設コストは下げなくてはならない企業のほうが、コストを気にしなくて良い企業よりもはるかに多いので、事務所に満足な一人一席づつ効率良いデスクワークができるようなスペースを与えることは避けたい。現時点での提案は、思い切ってフリーアドレスという制度を廃棄して、デスクワークの自分だけの場所をどこか会社の施設以外に持ち、会社ではある程度の作業ができるような、トム・ケリー氏の言う幼稚園の教室のような場所をふんだんに用意することです。

これは言うが易しで、会社の人事制度を根本的に改革しなければ、デスクワークを会社以外の場所で行う、という事は、現在の日本における労働基準法では、限られた業種の方々にしか適応できませせん。また、大企業だけではなく多くの中小企業も、既存の雇用制度に社会主義的な色合いが強くあるため、組織という安定した生命体であるがゆえに、組織を崩さない限りそこまで変わることができないでいる。

どうやらワークプレイスの革新、進化には、労働基準法の見直しがなければ実践できない会社も多いらしい。それは、今多くの大企業が抱えている研究開発の場創りにも通ずるテーマです。

今私の会社でワークスペースの改装が大々的に行なわれています。今朝総務の方との立ち話では、彼女は一時的な席でで仕事をしていると、ぱっと手をのばした所にいつも置いてある資料、書類、小物が無いので、仕事はいつもの半分のスピードになっている、と苦しそうだった。年末忙しいところ大変だなあ、いくら会社の都合だからといって、決してこういったメンタルな部分を軽視してはいけないなぁ、とクライアントにこのような状況を強いている私は反省しました。

11 thoughts on “フリーアドレス制のワークプレイス”

  1. これって、わたし的には例のState Specific Memory関係の問題のように見えます。その人が空間的位置関係で仕事のことを把握しているなら、毎日それをバラして再構成することを求めるのは、障害になりえます。

    がしかし、私にとっては蛍光灯がギラギラする灰色の四角い家具で埋められた日本の一般的オフィスで作業するのは拷問に近く、これも効率が上がらないのを経験しています。そういうオフィスで4時間かけてもアイデアが出なくて進まなかったことが、Starbucksで1時間で集中して片づいたことがあります。とはいえ、これは資料が並んでいる部屋が別にあるから成り立ってることでもありますが。

    もし効率なりアイデアなりの一番イイところを取りたければ、やはり作業に合わせてsettleできる場所とfree styleにできる場所と両方要るのでしょう。(で、工場での労働のような過去の仕事環境の発想が染みついている労働基準法も障害になりえるわけですね…)

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  2. gtさん、今どこ?(携帯会話的に言うと、です。)
    年末年始は日本ですか?

    そうそう、絶対前からgtさんに教えていただいているState Specific Memoryです。労働基準法が障害になっているのは、企業の商品開発、デザイン部門なんですよね。未だに管理職以下は管理されなければ仕事をしなくなるというふうに思っている。確かに何パーセントかの人達はサボるでしょう。それを無理やり100パーセントの人間を同じに動かそうという所に現在の問題点があると思っています。

    これが研究所になると、いきなり自由になるんですよ、同じ会社でも。大学、研究所は長期的なことをやっているから、自由勝手にやれる、という事なのかな?

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  3. 最近、『人と人の「つながり」に投資する企業』という本を読みました(blog に簡単な紹介を載せています)。

    この本では、「いかにして社員同士が出会い会話する場所(と時間)をつくるか」を主眼として書かれていますが、前提として個人のスペースがあり、放っておくと社員同士の交流がなくなる、という状態を懸念しているように感じました。

    トム・ケリー氏本の写真をみても、ワイガヤの総本山のようなIDEOでさえ、ブレインストーミングするスペースと集中するための個人のスペースはきっちり分けられているようです。

    日本の会社では、まず個人のスペースをデザインする必要があるのではないでしょうか。

    #僕は、大部屋でわんさか人のいる自席では集中できないので、ノートパソコンをもって休憩コーナー(勤務時間中は人が少ない)に移動してアイディアをまとめることが多いです。(^^;

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  4. 11月後半からずっと東京です。1月10日から一週間ほど出ますが、それまでもいます。今動いてる話2件が両方ともアメリカ側の人間と動く話のため、今週は昨夜からアメリカが平常営業モードですから今かなり焦っています。でも先週は逆で向こうが休みのため日本側の駆け込みでテンパってました。

    研究所は自由にできる、というのは労働基準法の絡みでもでしょうか? 商品開発やデザインを研究所にしてしまえれば色々と変えられるのでしょうか。形態的にその部門だけを別の企業化してコントロールを外せば変わったりするのかも知れませんね。知り合いの間では数人でやってる員ディペンダントなデザイン事務所が多いですが、結局競争にさらされているそういった人たちの方が出来てくるものが面白いと思えます。

    しかし空間作るのも簡単ではないでしょうね。私はStarbucksでよく仕事しますけど、もちろんすべてのStarbucksが同じではないですし。別に楽な椅子だとイイということもなかったりしますし。あの小さい丸テーブルにスツールでラップトップ相手にしていて何故か仕事が進んだりしますが、ソファがよい日もあったりします。ただし、すくなくとも照明が集中するのにすごく影響があることは感じています。キャンドルで仕事できるかに最近興味あるのですが。

    赤坂によく行っていたStarbucksがありここ数日も仕事に行っていたのですが、今日30日で閉店になってしまいました。あまりにもよく寄っていたので、店員ほとんどすべてと顔見知りになってしまい、今日は帰るときに盛大に見送られてしまってちょっと恥ずかしかったです。

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  5. hirocさん、コメント有難うございます!Blogの『人と人の「つながり」に投資する企業』の紹介読ませていただきました。まさしくその通りだと思います。

    「日本の会社では、まず個人のスペースをデザインする必要があるのではないでしょうか。」との事ですが、会社としての個人スペースの確保には私としては期待できないところです。ドラッカーの言うとおり社員は『資産』ではありませんが、スペースは非常に高価な資産です。一昔前は、ITコストや、弁護士、広告代理店など、今に比べると比にならないでした。ITコストなんて無かったわけですものね!それが、現状ITコストは会社によっては、年間総合経費の30%以上かかっています。

    スペースコスト、人事コストも上がる一方です。そのため、個人に与えるスペースというのが大変な重荷になる。地方でスペースコストが気にならない会社だというところでさえ、- https://www.fis.jfma.or.jp/fis/front/htm/research/index.html – ファシリティ・マネジメント観点からいうと、必ず下げる事のできる出費の一つとして見られます。(特にアメリカが本社の外資系にとっては。)IDEOも、経営システムがユニークなゆえに、あのような場創りが可能なわけで、逆に人事の安定性を求める会社には不向きのようです。

    現在個人スペースを重視しながらもコミュニケーションスペースがしっかりしている企業で、バランスシートも株主に満足できるところというケーススタディを探しています。そんな会社をご存知でしたら、是非、是非教えて下さい!!!

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  6. gtさん、行きつけのお店が閉まるってホント悲しいですよね。

    研究所が自由にできるのは労働基準法が変わってからかなぁ。ちょっと調べる必要があります。少なくとも私が知っている某大企業の研究所に関しては、研究所は別会社になっているので、労働基準法としては勤務時間の自由さが許可される対象だと思いましたが。

    キャンドルライトで仕事をするのは、読み書きに関しては(ラップトップでも)すごーく目が疲れるんじゃないかな。光のゆれとか、影に合わせて目のフォーカスが絶えず調節しなくてはならないから。試されたら、結果教えてくださいね。

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  7. 『人と人の「つながり」に投資する企業』/ドン・コーエン+ローレンス・プルサック

    サブタイトルは「ソーシャル・キャピタルが信頼を育む」。

    タイトルの響きと、著者がプルサック(『ワーキング・ナレッジ』の共著者)ということで購入した本。

    読み終わってみると端を折ったページが多くて本の厚さが変ってる(^^:)ほど、書かれている内容に共感・・..

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  8. ワークプレイスデザインの実情として、個人スペースの確保は難しいということですか。うーむむ…。

    残念ながらぴたっとくる事例は思いつかないのですが、Google なんてどうなんでしょうか。すでにかなりの人数が働いているようですし、Googleカラーで統一されたロビーなどケーススタディとしてはおもしろそうです(まだIPO していませんけど)。
    http://www.google.com/jobs/index.html

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  9. 全面キャンドルの明かりではむずかしいかも知れないですが、空間の一部にそういうキャンドルスペースがある状況というのは興味があります。ゆらぎがあることで何か違うのではないか、という推測ですが。

    ちなみに、あるキャンドルアーティストの展示を1月10日まで原宿でやっています。広島やNYのGroundZeroゃアフガニスタンにキャンドルを持っていって灯すイベントをしたそうです。http://www.candlejune.jp/

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  10. キャンドルスペースって教会とか、レストランをイメージしますね。照明をかなり落とすと効果があるという感じかな。たたみ4条くらいの小さな部屋で、壁ひとつ全面空が見えるか、眺めの良い窓で、夕方から夜キャンドルライトで落ち着ける場所なんてオフィスにあっても良いんじゃないかな?あとの3つの壁は全面ホワイトボード(ペンキでステキな色を塗って、その上からガラスを張っても同じように書けます)にしておけば、ブレストルームにもなりますよね。デザインしましょうか?
    キャンドル・アーティストの展示ですか。行ってみようかな。

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