居室のど真ん中にあるコミュニケーションスペース

ここ数年間居室のど真ん中にコミュニケーションスペースを作るというのが流行っていた。コンセプトとしては、田の字型、又は色々な形をした島が沢山ある居室の真ん中にやぐらのような柱システムを設置し、その中に打ち合わせテーブルや、ソファを置いて議論をすることによって、コミュニケーションを促進させ、情報が自然と知れ渡るようにする、というもの。

この試みは、ほとんど失敗している。なぜか。
1.コンセプトはわかるけど、そこを機能させるためのツールが揃っていない。
2.コンセプトは良いけれど、そこを使う人たち・部署の文化がそんな場所で活発に議論できるものではない。
3.そのコンセプトに惹かれて導入した際の部署責任者が変わり、新しい責任者はそんなコンセプトで居室のスペースの無駄使いをするよりも(どうせそんなに活発に使われてはいないのだし・・・)、人を沢山入れたほうが活気があると主張する。
4.そのスペースで活発に議論があったとしても、うるさくて周りの固定席の人たちの迷惑になる。
5.そもそもコンセプトの内容が漠然としている。

ごく少数の上手くいっているコミュニケーションスペースはなぜか。
1.総合的な場創りを、街づくりとたとえる。ヨーロッパの町の中央広場や、日本駅前の広場は四六時中イベントが開催されているわけではない。ただ、その広場がなければ、イベントの際はどこで行うのか?できなくなる。そしてイベントで人が集まることができなくなると、街としての活気が無くなってしまう。
2.ソフト企画の部分を分かりやすくする。個人席が近くにある居室のど真ん中をコミュニケーションエリアにする場合、皆が集まるきっかけのために、週に何回か決まった時間内でお茶やお菓子を用意する。朝礼はかならずそこで行う。週に1,2回そこで30分最新情報を放映する等。
3.分かりやすい説明を書面で残し、かなり上の人間にコンセプトを売り込んでおき、承認をもらっておく。
4.居室のど真ん中でなく、ちょっとはじの方に設置する。

2 thoughts on “居室のど真ん中にあるコミュニケーションスペース”

  1. どの仕事場にも、何かしら人が自然と集まる場が、いつのまにか出来ていると思います。僕の以前いた職場では、喫煙コーナー(男)と給湯室(女)。ありきたりですが。現在の職場(日本支社のオフィスではないですが)ではエスプレッソマシン+サンドイッチが置いてある部屋とある社員の机(基板や道具がいっぱいある)。そういう元からある「盛り場」をよく見て、それらがどうして成り立っているのか理解してから取り組めば、個々の職場にあわせて、きっといいものができるのだろうな・・・と考えました。IDEOの方法論の受け売りですが、コミュニケーションスペースの作り方だって同じなのでは、とふと考えました。どうでしょうか・・

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  2. Isaoさん、コメント有難うございます!仰るとおりですね。実はコミュニケーションスペースの作り方って大して難しくない。難しくしているのは、本来その場所で出す成果は何かを考えないまま、ただ会社の偉い人が風通しの良い職場にしろ、とか、もっと創造性を高めろ、とか思いつきで言う言葉に振り回されるからだと思います。自分たちでそれに口答えできないから、コンサルタントをやとって、その思いつきを更なる思いつきで対応するというケースが多いのかもしれません。

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