小宇宙だと思った。
私はよく知り合いに、私は社会性からいうと重症なハンディキャップがあると説明する。一人っ子というだけではない。9年前に次男が誕生するまでは、4人家族なんてなったことがなかった。その前までは、自分の家に帰ると、静かな部屋で大半の時間を一人で自由に過ごした。家庭内で姉妹と競争なんてする必要もなかったし、もともと物欲はあるほうではなかったけれど、欲しいものは何でも簡単に与えてもらった。とにかく人と何かを解決しなくてはならないということは、家庭内で経験したことは無かった。だから、学校、社会に出ても、何か人と解決しなくてはならない時は、ひたすら避けるか逃げるかをしてきた。
私の社会性を学ぶ機会というのは、9年前の次男誕生の時点から始まり、それから姑、三男が家族に加わり、学びのレッスンの内容レベルが上がっていった。
今日も良いレッスンがあった。次男は科学の実験をしたくて、欲しかったものが、割に合わず高価だったので、ふてていた。三男は昨日真っ暗になっても連絡もせず、帰ってこなかったので、お仕置きのために今日は友達と遊べなくて、ひまなので私にべたべたしていた。私は次男に何か科学の実験の本でも買い、三男の小学校入学式のための靴を買おうと思い、二人に一緒に行くようにと指示した。次男は飛び出してさっさと先に行ってしまい、はぐれてしまった。三男はそんな次男を心配した。「憲三は怒られるの?」と聞いた。「怒られないよ」と言ったら、「良かった!憲三が怒られると俺が泣いちゃうんだよ・・・。」大人の何気ない行動が、子供に大きな影響を与えるんだ。組織のリーダーの何気ない行動が、部下に大きな影響を与えるように。
レッスンの内容は、組織も家庭もシンプルで正当な規則が必要で、その規則を基に自由を与え自分で考えて行動するようにしておけば、リーダーもメンバーも安心して活動できるということだった。今日私は安心してはいなかった。第一うちではシンプルで正当な規則というものがまだない。そして私自身子供たちがやりたいことができないでいると、一生懸命になりすぎる時と、放って置きすぎる時がある。
少子化の時代に育ち、環境に大きな制限があり、寝てもさめても人と密に関わりあわなければならない大家族という組織を経験したことのない時代の企業、町、国の展開が興味深い。家族は組織の小宇宙だから。皆私のように対立を避けてばかりいるタイプだったら、大きなことのできない社会になってしまうかもしれない。