町全体がワークプレイス

ほんの2,3年前、建物を都市やコミュニティのメタファーとして解説する観点が一時出回っていた。建築家のノーマン・フォスター氏も、リチャード・ロジャース氏もそのような観点のお話しをされていた。同じ時期にスチールケース社でもコミュニティ・ベース・プラニングという、オフィスの中を成功している都市開発と同じような考えでデザインしようというコンセプトがあった。これらは有効かと思われるが、特に一等地にブランドとして会社のメイン拠点を構えたい企業には、オフィスコスト削減重視という大変なハンディがある。一つのオフィスで全てをまかなうよりも、それこそ町(コミュニティ)全体をワークプレイスとして捕らえるべきだと私は今思っている。だから、例えば東京駅前の丸の内ビルに会社のメイン拠点を置いた場合、そこから電車で30分以内の場所を全て仕事のエクステンションとして考慮する。コンファレンス機能(トレーニング社内、クライアント向けや大規模ミーティング)は会社で固定費として持たずに丸ビルの8階や、東京コンファレンスセンターを使う。プロジェクト室はまだ比較的便利でもコストが低い(初期投資や現状復帰コストゼロ)ビジョンオフィスアクセス神田等にする、集中した仕事は自宅人によっては自分でどこかの安いワンルームマンションにオフィスを借りる(SOHO)か等ができる。うまくバランスを取ることができれば、多くの企業では今の全体的な施設投資(一等地に全ての機能を持っている、新しい自社ビルを建てる、自社のトレーニング、コンファレンス施設を持っている、等)より、人に効果的に働く場所を与えながらコスト削減を図れる。

会社のメイン拠点はコミュニケーションを取る場所なので、フレキシビリティの高いセッティングで、全体的にクラブラウンジや、カフェのような場所を多く取る。そこではあらゆる自由なミーティングも、タッチダウン個人作業(カフェで一人で仕事をしている感じ)も可能にする。コールセンターはもちろん郊外にセッティングする。経理、総務、法務などセッティングもSOHO重視とする。こうなると、帰属意識が薄れやすいのは確かだ。でも、ビジョンが明確である会社で、個々の仕事を通じての自己実現のビジョンやコンセプト、責任範囲の明確化がしっかりしていなければ、これからの会社はどんな一等地で素晴らしいビルに皆集まっていても更に大変になっていくだろう。

いつも書いていることだが、ワークプレイスの形を変えるだけでは、会社は変わらない。会社は結局人でできているものだからだ。会社の形、働き方がITによって50年前から激変した今でも人の要素は同じで、組織の理念、リーダーシップ、信頼、仕事を通じての自己実現は古代から変わらないままだ。バブル崩壊後のたうち回ってきた日本だからこそ、これらの大切さが身にしみて分かる人達が多くなったような気がする。

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